ガンダムで2号機は必ず盗まれるという都市伝説

機動戦士ガンダムSEEDのフリーダムガンダムなど、ガンダム作品では本来敵陣営が使うはずだったモビルスーツを奪取し、その機体が敵対し、圧倒的戦果を挙げる例は実はとても多い。そんな奪取される機体だが、ガンダムファンの間では「2号機ばかり盗まれてない?」と話題になることがしばしば。今回は、2号機が本当にそんなに盗まれているのか。そしてそのルーツはどこからなのか。都市伝説的に語られるこの話を検証してみようと思う。

とにかく多い!2号機の盗難被害

改めて調べてみると、2号機が奪取された例は噂通りあまりにも多い。

ガンダム試作2号機(GP02-サイサリス)「機動戦士ガンダム0083」

ガンダムスローネツヴァイ(GNW-002)「機動戦士ガンダム00」

ガンダムAGE-2ノーマル(AGE-2)「機動戦士ガンダムAGE」

上記のような有名な作品だけでも、確かに2号機だけがやたら奪取されたり、勢力が変わったりする傾向がある。ここでご紹介した3つの機体に関しては、他のナンバリング機体は奪取されていない。

しかも、主人公の属する勢力から敵勢力へ渡っているだけではなく、逆に主人公が盗むこともまぁまぁあるのだ。例えば、機動戦士Zガンダムの「ガンダムMk-Ⅱ」はのちに主人公カミーユ・ビダンが属することになるエゥーゴが、ティターンズから奪取する。最初に奪ったのは3号機だったが、その後1号機、2号機も奪取に成功している。ティターンズの手元にはガンダムが1つも残らないという、なんとも寂しい展開だ。

もちろん2号機以外の機体も盗まれているのだが、比率が高いのは確かである。まずその前に、ここまで簡単に軍事兵器を奪取されてしまう環境が横行しているのもどうかと思うのだが…

盗まれた後に大活躍する2号機

盗まれた2号機たちは、その後ほぼ100%の確率で活躍をする。盗まれる、というところにドラマが詰まっているのだから当然と言えば当然なのだが、それだけ盗む価値のある機体が2号機には多いということなのだろうか。

アナベル・ガトーによって盗まれたガンダム試作2号機(GP02 サイサリス)は、同時期に作られたガンダム試作1号機(GP01 ゼフィランサス)にはない核弾頭の装備が可能で、連邦とジオンの間に結ばれた南極条約に違反する機体だった。ガトーは、その核兵器「アトミックバズーカ」よって連邦軍の艦隊を壊滅させる。

アリーアル・サーシェスによって盗まれたスローネツヴァイは、ソレスタルビーイングの本家ガンダムを苦しめ続け、初代ロックオン・ストラトス(ニール)を死に追いやる。スローネアイン、スローネドライも含めたガンダムスローネシリーズの中で、唯一遠隔操作武器であるファングを搭載した戦闘特化機体であった。

ガンダムAGE-2もAGEという名前がつく機体の中では唯一の可変機である。主人公のひとりであるアセム・アスノが操縦しているとはいえ、その後に登場した正規軍のMSをものともしない鬼神の如き活躍を見せる。

1号機をベースに、2号機はそれを基に性能を付加したものを開発する。開発の流れからして、1号機ではなく2号機が盗まれるのは、ある意味納得のいく設定なのかもしれない。

初代ガンダムから、実は2号機奪取の歴史は始まっていた

そのあまりにも多い奪取事例は、ガンダムの歴史上どこから始まったのかと言えば、実は最初のガンダムがすでに奪取未遂だったのではないかと言われている。

初代「機動戦士ガンダム」にて、アムロ・レイが搭乗していたガンダムは、型番が「RX78-2」となっており、実は2号機という設定なのだ。1号機としてプロトタイプガンダムという機体が機動戦士ガンダム THE ORIGINで登場している。

その2号機であるガンダムを、連邦軍の士官でもない一般人だったアムロが勝手に動かしてしまったのだ。現代で考えれば、他人の車、しかも軍の車を勝手に奪って運転したようなものなのだから、見方によってはれっきとした盗難である。

この初回起動の盗難未遂だけに終わらず、ガンダムは度々同じような目に遭う。セイラ・マスが勝手に搭乗し出撃したり、アムロが脱走する際にも一緒に持ち出されていたりと、散々である。アムロはその件で独房入りしているが、現代ならすでに前科二犯の犯罪者レベルだ。

この時から既に、2号機盗難の歴史は始まっていたのかもしれない。

そもそものデザインが盗まれる前提…?

その後の作品でも度々奪取される2号機だが、「盗まれるというのが前提ではないのか?」と疑われるデザインの機体も珍しくない。

例えば、「機動戦士ガンダム外伝」に登場する、ブルーディスティニー2号機。こちらはニムバス・シュターゼンに奪取されるのだが、元々濃い青色でカラーリングされており、EXAMシステムによる目が赤くなる演出も踏まえると、とても悪役らしいカラーリングが最初から施されている。主人公であるユウ・カジマの搭乗する3号機の白色ベースのカラーリングと比べると、その差は歴然だ。

「機動戦士クロスボーンガンダム」のクロスボーンガンダムX2も、元々のカラーリングが真っ黒と、兄弟機であるX1の白色ベースのカラーとは似ても似つかない色合いで最初から登場する。そして、パイロットであるザビーネ・シャルの裏切りと共に、敵である木星帝国にまんまと奪われてしまう。

ガンダム試作2号機(GP02 サイサリス)は、カラーリングこそガンダム試作1号機(GP01 ゼフィランサス)とあまり変わらないが、その顔のデザインは俗にいう『悪役顔』と言われても過言ではない様相で、連邦軍が使う機体ではないというのをヒシヒシと感じさせてしまっている。

敵であることの時間の方が長いのだから、という製作者側の意図もわからなくはないが、機体のデザインで「あ、この機体は盗まれるな」と、ちょっと展開が想像できてしまうのも面白いところだ。

その後、改造されて染められる機体が多い

上記のように、最初のデザインが奪った勢力好みの機体であれば、そのまま使われることも多いのだが、お気に召さなかったのか、盗んだ後にカラーリングなどをその勢力に染められてしまう機体もある。

ガンダムMk-Ⅱは黒色から白色へ。AGE-2も白から黒へと、イメージごと変えられ、いかにも最初から僕たちのものでしたと言わんばかりのカラーリングを施す。盗人猛々しいとはこのことを言うのかもしれない。

「機動戦士ガンダムSEED」のデュエルガンダムも形式番号がGAT-X102となっているので、実は2号機なのだが、連合から奪った4機体の中で唯一ザフト側での追加武装(アサルトシュラウド)が行われており、ザフト色に染め上げられている。

「Mk-Ⅱ」になると更に扱いがひどい?

厳密にいうと2号機ではないのだが、やはり「2」という数字が付いているとどうやらガンダムの世界ではあまり良い扱いは受けない傾向がある。前述しているガンダムMk-Ⅱをはじめとする、「Mk-Ⅱ」という機体名が施されている機体たちだ。

というのも、奪取されるのはもちろんなのだが、そればかりか「2号機は性能がいい」という理論すら通用しなくなるのである。ガンダムMk-Ⅱも主人公機ではあるものの、やはり初代ガンダムと比べると周囲のモビルスーツの性能が上がっていることもあり、飛び抜けて高いとは言い難い。

他のMk-Ⅱで言えば、「キュベレイMk-Ⅱ」がある。エルピー・プルによってエゥーゴの機体となった黒系色のMk-Ⅱだったが、その性能は初代のキュベレイの廉価版といっても過言ではなく、活躍の場面はあれど、ハマーン・カーンが駆る初代キュベレイに勝ることはなかった。プルツーが搭乗していた赤いMk-Ⅱも目立った活躍は見せられずに終わる。そういえば、プルとプルツーの関係も、プルをオリジナルとして、プルツー(2?)は敵対組織であるグレミー・トトの軍に所属している。

「サイコガンダムMk-Ⅱ」も、ティターンズが開発しロザミア・バダムが搭乗したものの、フォウ・ムラサメのサイコガンダムの活躍やインパクトを超えることはなかった。アクシズを奪取した後、前述したキュベレイMk-ⅡとのMk-Ⅱ対決を制するも、ZZガンダムの覚醒によって撃墜されてしまう。

もちろん感じ方は個々人に寄るところが大きいが、Mk-Ⅱと呼ばれる機体はどうも初代を超えられない傾向がある。そこがまた愛らしく、ファンも多いところなのだろうが。

まとめ

2号機が盗まれるのは、都市伝説でもなんでもなく、かなりの事例があることがよくわかった。かつ、そこには大きなドラマが必ず生まれ、物語の大きな動きを生み出している。また、この奪取劇から新たなモビルスーツが誕生する軌跡すら描かれている。

今回紹介した以外にも、数多くの2号機が奪取や奪取未遂にあっている。ガンダム作品にとって、2号機の奪取は『欠かせない要素』のひとつなのかもしれない。

ただ、今回の考察で分かったことは、最新鋭のモビルスーツをいとも簡単に盗まれてしまう警備体制こそが各軍の弱点である、ということだ。