ロボットアニメといえば、パイロットと愛機は一心同体のようなイメージが多いと思います。ところが、ガンダム作品には意外にも浮気性で色んな機体に乗っているキャラクターもいるのをご存知でしょうか。今回はそんな「搭乗したモビルスーツの多いパイロット」を、ランキング形式でご紹介していきます。
└小説・漫画・設定のみの搭乗は除く
・下記の条件の機体は1機として数える
①バリエーション機で、同じ機体の改造と推定されるもの
└ザクⅠとザクⅠ改、ガンダムエクシアとガンダムエクシア リペア、等
②コックピットが独立しただけのもの
└ガンダムとコアファイター、インパルスガンダムとコアスプレンダー、等
[ もくじ ]
【第3位】ジェリド・メサ(7機)
ジェリド・メサの登場作品
- 機動戦士Zガンダム
ジェリド・メサの搭乗機体
- ガンダムMk-Ⅱ
- ハイザック
- ガルバルディβ
- マラサイ
- ガブスレイ
- バイアラン
- バウンド・ドック
主人公カミーユ・ビダンのライバル(?)が堂々のランクイン
機動戦士Zガンダムの主人公カミーユにやられてもやられても、また出てくることで有名なジェリド・メサが、搭乗機体7機で第3位にランクイン。撃墜されては登場するたびに機体を乗り換えていたら、あれよあれよとこんなにも乗っていたようです。
エリートという設定もあり、いつも最新モビルスーツに乗せてもらっていたが、最終決戦まで主人公のライバルと呼べるような立場にはなりきれず、ついにパプテマス・シロッコにそのポジションを奪われてしまいます。物語の中盤でフォウ・ムラサメの乗るサイコガンダムをバイアランで撃墜するという快挙を成し遂げたのが、モビルスーツの戦いにおいては最大の活躍でしょうか。しかし、そのサイコガンダムも味方(ティターンズ側)であることを考えると、不名誉な快挙かもしれません。
ここまで「やられ役」かのように紹介してきたジェリドですが、決してモビルスーツの操縦が下手なわけではありません。同じ機体に乗っている仲間がどんどんやられていく中、最終回近くまで生き残ったジェリドは、果たして運がいいのか、悪いのか。
ニュータイプ同士の戦争となっていくZガンダムのストーリーにおいて、その戦いに置いていかれるオールドタイプの代表として共感できる部分も多く、魅力の溢れるキャラクターだと思いますね。
その他「機動戦士Zガンダム」では、惜しくもランク外とはなったが、カツ・コバヤシが5機、レコア・ロンドが5機と、意外な人物が名を連ねている。
【第3位】クロノクル・アシャー(7機)
クロノクル・アシャーの登場作品
- 機動戦士Vガンダム
クロノクル・アシャーの搭乗機体
- シャッコー
- ゾロ
- トムリアット
- ゾロアット
- コンティオ
- リグ・コンティオ
- Vガンダム
奪われたり奪ったり、急に強くなったり、忙しかったライバル
機動戦士Vガンダムで主人公ウッソ・エヴィンのライバルと言える活躍を見せたクロノクルが7機で同率3位のランクイン。ストーリー序盤では、愛機のシャッコーをウッソに奪われたり、逆に奪ったVガンダムはうまく扱えなかったり、何かと不手際の多かったイメージが強いクロノクル。しかし、カテジナとコンビを組むようになり、宇宙に出てからは戦い方が一変。見事に主人公ウッソを苦しめる存在となった。
単にザンスカール製のモビルスーツは大気圏下の性能が悪かったのでは…?と言わんばかりのクロノクルの戦績。初めから環境に適したモビルスーツに乗っていれば、ザンスカール帝国軍はもっとリガ・ミリティアを苦しめられたのではないかという搭乗機体のラインナップである。
ちなみに主人公のウッソは種類で数えるとそれなりの数にはなるのだが、バリエーション機体が多いため、今回のルールでは、シャッコー、Vガンダム、V2ガンダムの3機のみとなり、ランク外となった。
【第2位】トロワ・バートン(8機)
トロワ・バートンの登場作品
- 新機動戦記ガンダムW
- 新機動戦記ガンダムW -Endless Waltz-
トロワ・バートンの搭乗機体
- ガンダムヘビーアームズ(ヘビーアームズ・改を含む)
- ウイングガンダム
- ヴァイエイト
- トーラス
- ウィングガンダムゼロ
- リーオー
- サーペント
主人公ヒイロ・ユイを抑えて、堂々のランクイン
新機動戦記ガンダムWのキャラクターたちは乗り換えが非常に多く、ヒイロ・ユイ6機、カトル・ラバーバ・ウィナー5機、ゼクス・マーキス5機など、いろんなモビルスーツに乗っているパイロットが目立ちます。
その中でもダントツの8機搭乗のトロワが、ランキングの2位となった。途中愛機のヘビーアームズをヒイロに貸したり、単身OZへスパイとして潜入したり、正気を失ったカトルとの戦いで記憶をなくしたり。人間ドラマの多いとされるガンダムWの中でもかなりの量のドラマが詰まったトロワ。そのドラマの数だけ、乗っているモビルスーツも多くなるということだろうか。また、トロワはオモテの顔(ガンダムのパイロットとして活動をしていないとき)はサーカスのピエロを演じており、どんな姿にでもなれるということなのかもしれない。しかし、搭乗モビルスーツのラインナップを見ると、しっかり愛機ガンダムヘビーアームズと同じ射撃系のモビルスーツに偏っており、ちゃんと選んで搭乗しているのが見受けられるのが面白い。
ガンダムWのキャラクターたちは、平然と敵のモビルスーツを奪ったりして搭乗することが多いため、乗り換えが多くなった傾向がある。ストーリー上の演出として理解はできるのだが、「あれ、この機体は敵なのか?味方なのか?同じ機体同士で撃ち合ってるぞ?」と混同することが多々あり、味方のはずのガンダムも一時的に敵の手に渡ったりしているのがややこしいポイントである。
また、別の共通点として、先ほど羅列したキャラクターたちは、作中で一度は『ウイングガンダムゼロ』に搭乗しているのも面白いところである。ウイングガンダムゼロのコックピットに最終的にヒイロが収まるまでのさまざまなドラマが、ガンダムWを楽しむ上でまた別の面白さがあるのではないだろうか。
【第2位】アムロ・レイ(8機)
アムロ・レイの登場作品
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士Zガンダム
- 機動戦士ガンダム-逆襲のシャア-
アムロ・レイの搭乗機体
- ガンダム
- Gブル
- ガンタンク
- ガンキャノン
- リックディアス
- ディジェ
- リ・ガズィ
- νガンダム
ガンダム以外も伊達じゃない?多くのモビルスーツに乗るアムロ
アムロといえば、やはり「ガンダムのパイロット」というイメージだが、意外にもその搭乗機の半分以上はガンダム以外のモビルスーツが占めている。ガンダムをセイラ・マスに持っていかれてしまった時にはガンキャノンに乗ったり、試しにガンタンクに乗ってみたりと、意外と機動戦士ガンダムの時点で、たくさんの機体に乗っていたアムロ。
機動戦士Zガンダムでは、宇宙に出るのを怖がったのもあるが、ガンダムと名のついたMk-Ⅱにも乗ることはなく、リックディアス系統のモビルスーツだけの搭乗となった。その後、スランプを抜け出し宇宙に上がった後の逆襲のシャアでは、シャアに「そんなモビルスーツで!」と呼ばれてしまうリ・ガズィから「伊達じゃない」でお馴染みのνガンダムへと、こちらは一転してガンダム系譜のモビルスーツにのみ搭乗している。
その他にも、輸送船でアッシマーを倒したり、ゲタで月まで行ったりと、数多くのコックピットシーンを経験するアムロ(今回のランキングはモビルスーツに限定したランキングのため、前述の機体はカウントに含まない)。どんな機体に乗っていても必ず結果を残すパイロットと言っても過言ではない。やはり、ニュータイプは伊達ではないということなのだろう。
【第1位】シャア・アズナブル(10機)
シャア・アズナブルの登場作品
- 機動戦士ガンダム The Origin
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士Zガンダム
- 機動戦士ガンダム-逆襲のシャア-
シャア・アズナブルの搭乗機体
- ガンタンク初期型
- ザクⅠ
- ザクⅡ
- ズゴック
- ゲルググ
- ジオング
- リック・ディアス
- ガンダムMk-Ⅱ
- 百式
- サザビー
圧巻の機体数。撃墜されていない機体の多さが異常
第1位はシャア・アズナブルが堂々のランクイン。名前が変わっていたり、少し審議が必要な部分もあるが、同一人物と数えるならば10機の搭乗機体は圧勝と呼べる数字である。機動戦士ガンダムでのジオン公国軍のパイロットとしてのシャアの時代だけで見ても、専用機のみで4種類の機体を乗りこなす。
第3位にランクインしたジェリドやクロノクルなどのライバルキャラクターと同じく、主人公のライバルとしてアニメに登場する度に、どんどんと機体を乗り換えていくのだが、彼らとの違いで特筆すべきは、乗り換えの理由が「撃墜されたから」というわけではない、という点だ。苦戦したシーンは多く見られるものの、最終的には撃墜されない。この引き際の見極めこそ、シャアのパイロットとしての腕の高さが見受けられる。「ノーマルスーツを来なくても大丈夫」という妙な自信にも納得してしまう。
乗機を見ても、撃墜され、その後も登場しない機体はジオングとサザビーの2機のみである。更にこの2機を撃墜したのはどちらも第2位にランクインしたアムロ・レイであり、2人のライバル関係が非常に強く伺える。ちなみに、百式も機動戦士Zガンダムでハマーン・カーンのキュベレイに撃墜されているが、機動戦士ガンダムZZで再登場している(これは2号機であり、同一機体ではないとう説もある)。
初の搭乗機はガンタンク?自身の改名に合わせて搭乗モビルスーツも変わる
2015年〜2018年にかけて映像化された「機動戦士ガンダム The Origin」で登場した幼少期のシャア(改名前のキャスバル・レム・ダイクン)がザビ家に掌握されたジオン公国を脱出するため、一時的に敵から奪って操縦したのが、ガンタンクの初期型だった。厳密にいうと操縦ではないのかもしれないが、シャアが最初に操縦したモビルスーツは意外にもこのガンタンクということになる。
シャアといえば、ジオンを象徴したモビルスーツばかりを操縦しているイメージがあるが、それはあくまでシャア・アズナブルであるときの話。名前を変えれば他の所属も変わり、その結果多くのモビルスーツを操縦することになる。機動戦士Zガンダムでは、クワトロ・バジーナを名乗っており、最初こそ1つ目で赤い機体であるリックディアスに搭乗していたが、その後搭乗したガンダムMk-Ⅱ、百式は今までのシャアが操縦するとは思えぬ外見とカラーリングの機体だった。
アニメ化された作品だけでも圧勝。その他を併せればさらに…?
アニメ化された作品だけでもこれだけのモビルスーツに搭乗しているシャアだが、今回は数から省いた小説版や設定資料等を含めるとその数は倍以上になっていく。リックディアスの前身となったであろう「シャア専用リックドム」や、サザビーの後継機と呼ばれる「ナイチンゲール」等。プラモデル化されていたり、関連作品のゲームに登場している機体も多いので、ご存知の方も多いのではないだろうか?
こういったことからも、シャア・アズナブルがいかにファンや開発者たちから愛されたキャラクターなのかが分かる。
まとめ
今回ランク外とはなったが、機動戦士ガンダムSEEDのキャラクターたちは、実は多くのモビルスーツに搭乗している。アスラン・ザラ6機、ムウ・ラ・フラガ6機、ラウル・クルーゼ5機など、今回のランキングには惜しくも入らなかったが、大健闘したキャラクターたちだ。
特にアスランは、他のキャラクターに見られる「ちょい乗り」ではなく、愛機の乗り換えが多く、自身のカラーである赤いガンダム機体だけで4機。その他にもザクウォーリアー、グフイグナイテッドと、量産機にも搭乗している。一度でもいいから、デュランダルに勧められるがままにレジェンドガンダムに搭乗するシーンがあれば、今回のランキングにランクインしていたのが悔やまれるところ。
長く続いている作品ほどランクイン
1位のシャアや、2位のアムロはもちろんだが、当たり前のように長く作品が続けば搭乗機が変わるため、どうしても続編のある作品のキャラクターが強くなってしまう背景は拭えなかった。
しかし、単発作品ながら今回のランキングに入ったキャラクターたちは、作中で見れば相当な乗り換え回数なのだというのが分かる。ライバルキャラクターでは、機動戦士ガンダム00(ダブルオー)のアリー・アル・サーシェスも6機体に搭乗しているなど、主人公を苦しめたキャラクターほど搭乗機体が多いようだ。主人公をいかにして倒すか、そんなライバルたちの苦悩や努力の結果かもしれない。
また、作品によっても偏りが見られ、続編や二期があるシリーズでも、機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズなどはライバルなども含めても比較的少ない搭乗数となっていた。
他にも意外な共通点が
今回ランクインしたキャラクターたちの大半で共通しているのが「仮面」である。ランクインしたシャア、クロノクル、そしてトロワ。惜しくもランク外のゼクス、アスラン、クルーゼやムウですら、一時的なものも含めて仮面を被っていた。仮面を被るキャラクターは確かにガンダム作品では多く見かけるが、ここまで搭乗数と因果関係が出てくるのは意外だった。
仮面をつけているが、機動武闘伝Gガンダムのシュバルツ・ブルーダー、機動戦士ガンダムUCのフル・フロンタル、機動戦士ガンダム00のミスター・ブシドーことグラハム・エーカーなどはランクインしていないので、必ずしもそうであるとはいえないが、面白い結果ではある。また、余談だがグラハムはほぼ全てがバリエーション機体であるためランクインはしなかったが、6機体の乗り換えを行なっている。
今後の新しいガンダムシリーズでも、仮面を被ったキャラクターが登場したら、いったい何回乗り換えるのか、そんな面からガンダム作品を見直してみても、面白いのではないだろうか。