健闘も虚しく、月に隠されていた衛星砲から強烈な光が放たれてしまう。その影響は惑星エルドラの他の地域のみならず、GBN、さらにはヒロト達が住む世界中にまで及んでいた。今までの戦いが全てゲームではなく、本当に起こっていたことかも知れない。想像もつかなかった展開に、ヒロトは大いに戸惑う。だが今の彼は1人ではない。ビルドダイバーズがリアルで集う、それは必然の流れだった。
[ もくじ ]
【オープンニング前】
おそらくは、宇宙規模の超重力。超高圧下で発生した未知の反粒子による超空間放電、サージ現象の一種ではないかと。はい。
その放電を受けて、通信機器や、コンピューターが使えなくなった、ということなんですね。
おそらくは、はい。ですが、これほど大規模で強力な現象は、今までの記録にはありません。はい。
つまり、人類がまだ経験したことがない災害ってことですか?
えぇ。解析と復旧には、早くとも数日。遅ければ数ヶ月に及ぶかと。はい。
この現象、遠い、この惑星が発生源とされていますが…。
惑星1G1202C。光の速さで、30年かかる距離にある星です。はい。
じゃあ、これって、30年以上前に発生して…
ごめんね、ヒロト。作り置き何にもなくって。
いいよ、仕事の追い込み中なんだし。通信障害で大変なんでしょ。何か手伝えることはある?
ごはん食べて勉強でもしなさい。GBN、早くログインできるようになるといいわね。
…うん。
あ。電波、通じたみたい。
え、ほんと?
ん?
あっ。もしもし!?クガです、あーよかった、繋がったー!
えぇ、あの先生の翻訳は3度目ですから、明後日の夕方までにはなんとか…
(これ、本当にゲームなんでしょうか…)
(まさか…、リアルだってのかよ…)
…リアル…。…あっ!
スマホに連絡が入る
…はい。
ヒロト、クガ・ヒロトだな。
そうだけど。
リアルで話がしたい、エルドラのことについて。
…あっ!メイ!?
…。(ヒロトを案内する)
あ、ちょっと!
…。(ヒロトを案内する)
あの…。
久しぶりだな、ヒロト。
ん?…あっ!メ、メイ…なのか!?
本当にガンプラのボディなんだな。
エルダイバーをリアルで見るのは初めてか?
あぁ。その服は?
後見人が仕立ててくれた。なにか問題でも?
あ…、いや。
でけぇ…!でかすぎだろ、あの船!
あ…。
お!もしかして、お前ヒロトか?
あぁ、クガ・ヒロト。
カザミだ!トリマチ・カザミ!
カザミ…って、本名だったのか。
お前だってそうじゃねぇか。
ふんっ。風を読み、未来を見据えるから、カザ、ミ!
結構気に入ってんだ。うぅ…。なんか、GBNのまんまって感じだな。
お前はちっさいな。
お…。あ?なんだ?こんなちっちゃいやつにちっちゃいって言われたくねぇっ…て、うわぁお!
お前も初めてか。
うわぉ…マジのメイかよ…。ほんとにガンプラサイズじゃねぇか。可愛い服、着てんな…。
お待たせして申し訳ありません!
リアルでは初めてですね。パトリック・アレクサンドル・レオナールアルジェです。
…誰?
…パル!?
お前パルか!?
はい!パルヴィーズです!ヒロトさんと、カザミさんですよね。すぐに分かりましたよ。
ありがとう。(執事に対して)
あぁ、お気遣いは無用です。大抵のことはひとりでできますので。
遠いところをすまなかったな、パル。
おぇ。あ…メイさん!?すごい!リアルのエルダイバーさん初めて見ました!
とてもおキレイです!お召し物も素敵ですね!
ん…そうか。
パルって、いいとこのおぼっちゃん?
よし、これで揃ったな。
タクシー!
ん…むぅっ…!タクシー!
あぶねぇ!うわぁっ!…もう、何やってんだよぉ!
タクシーに乗るためには、あぁするのではないのか。
そのサイズじゃ気付かれねぇよ!
そうですよ。踏まれたら大変です。よろしければどうぞ。
うん。…よっ。ありがと。
助けてやったの俺だろうがよ。
みなさん、僕の車でいきましょう。
僕の、車?
うぉぉ!すげぇ!やっぱ、パルって、いいとこのおぼっちゃんなのか?
中央総合病院まで頼む。
かしこまりました。
病院?
あら?マサキのお友達?
…マサキ?
(そうだと答えてくれ)
は、はい、そうです!リアルでお会いするのは初めてなんですけど。
あ!じゃあGBNのお友達ね!
はい!
そう!わざわざありがとう!マサキの姉の、シドー・ミズキです。さ、どうぞ。
その女の子もガンプラ?可愛いわね!
ありがとうございます。
マサキ、お友達が来てくれたわよ。
あ…。
半年前、GBNにログインしたまま、意識が戻らないの。
えっ…!?
えっ…!?
えっ…!?
身体には全く異常はないってお医者さんは言ってるんだけど…。
あの、この方は…
え?
あ、いえ!どんな人なんですか?『リアルの』マサキさんって…。
そうねー…。ガンプラが大好きで、好きなことばっかりやっていて。困ってる人を放っておけない、愛想はちょっといまいちだけど、お人好しな『私の自慢の弟』…かな。
あ、そうだ!この子、「GBNで今度すごいことやるんだ」って…。この中にあなたたちもいるんじゃないかしら?
失礼します。
「このメンバーで、何かを攻略すれば、誰かを本当に守ることができるんだ」って言って。
あ…!
あ…!
…。
あっ…!
パルの車で病院を後にする
さっきの写真に、あの人が…。
なんで、あいつがいたんだ…?
…ムラン。
あれは、エルドラってことですか?メイさん、さっきの方は?
彼は、シドー・マサキ。ゼルトザームのパイロットだ。
なに!?
えっ!
えっ!
ダイバーネーム、シド。ガンダムマーク3を改造した、テルティウムガンダムを狩る、Sランクダイバー。
特定のフォースには所属していなかったが、データを見るに、非常に高い能力をもつビルダーであり、ダイバーだったようだ。
1000機のデスアーミーを相手にした乱戦ミッションや、500機のリーオーを相手にした、武器制限マッチなど…過酷なミッションに挑んでは、次々とクリアしてきた最上位ランカーのひとりだ。
そんな彼が数ヶ月前、忽然と姿を消した。ログアウトの記録がないままにな。
ログアウトしていない…?
私はエルダイバーとして、彼の捜索を依頼された。
えっ…!
広大なGBNのディメンションに、ログアウトしていない彼のダイバーと、ガンプラのデータが漂っていないか。
捜索を続けるうち、あのストーリーミッションでシド―・マサキを発見した。
彼の意識はまだ、あの場所に…エルドラにある。
あっ…!
意識、だけが…?
んなこと、ありえんのかよ!
水上都市セグリを吹き飛ばした、あの衛星兵器…。
いま起きている現象が、エルドラの受けたあの攻撃によって引き起こされたものだとしたら…。
いや、だからあれはゲームのイベントだろ!
通信障害の原因は、『遠い星で30年以上前に起きたことだ』って…
光の速さを超えた現象だ。という情報もある。
ん…。
エルドラというディメンションとは?我々がエントリーしたストーリーミッションについて、先日、運営から正式な回答があった。
…GBNには、実装されていない。
はぁ…?実装されてないって…?
どういう…?
リアル…ということか。
おっ!
えっ!
あぁ。確証がなくとも、伝えておくべきだった。ああなる前に…
リアル…?エルドラが、現実?
本気で言ってんのかよ。あのNPDの連中や、ストーリーミッションが、全部現実だったって!?GBNにログインしてるだけなのに、なんでそんな…
証明する方法はない。あるのは状況だけだ。
だから会わせたのか、シドー・マサキと。
え…?
え…?
エルドラに行くということは、彼のようになる可能性があるということだ。
リスクは伝えておくべきだと考えた。…どうする?
どうするって、ありえねぇだろ!?帰ってこれるか分からねぇなんて!
そんなの…、もうゲームじゃありませんよ…。
そうだ。だが今までもずっとそのリスクはあった。
そんなの知ってたら行ってねぇよ!!
…ぐっ…俺は、ガンプラで、GBNで『ヒーローごっこ』がやりたかっただけなんだよ!リアルとか…人の命とか…そんなの背負い込めねぇよ。
カザミさん…
…。(パルを見つめる様子)
あっ!ぐっ…。うっ…。(メイの目を背ける)
…。(ヒロトを見つめる様子)
…くっ…。(メイの目を背ける)
…では、ここまでだな。
その場を去るメイと、取り残される3人
【Bパート】
エルドラが…リアル…?本当に、君に乗っていたなんて…。
(ねぇねぇ、また聖獣さんに乗せてくれる?)
(約束だよ!)
(約束!)
ふぅぅっ…。アシャ、トワナ、フルン…。
僕は…また…飛べないの…?
あれが全部リアルとか…信じられるかっつーの。
「どうする?」じゃねーだろ…どうするじゃさ…。
マイヤのことを思い出すカザミ
お前、NPDじゃなかったのかよ…?
おっ!ぐっ…!うぅっ!うぐぐぐっ!…おわっ!
どうしようもねぇって…。俺はガンダムの主人公じゃねーんだよ…。
ふんふん、ふんふふんふん…♪
マサキちゃんが見つかったのは良かったけど、どうすれば目覚めさせることができるのかしらね。
他に資料はある?こっちでも出来る限り、解析してもらうから。
カザミがアップロードした動画があるはずだ。
人気はないようだから検索してくれ。編集が偏っていて、役に立つかは分からん。
じっくり対策を練る時間がほしいけれど…
現地の民のこともある。…助けなければ。
あっ…。(メイの心の変化に気づく様子)
うふっ。見つかったみたいね、メイ。
ん?
あなたのミッション。
ん…。分からない。ただ、今やるべきことという認識だ。
グラスをメイに近づけて乾杯を促すマギー
ん…?
あなたの無事と、あなたの人生に。
ん…。(乾杯する)
うふ。
…。(部屋でひとり、考えこむ様子)
マツムラの店を訪れるヒロト
いつになったら接続制限解除されるんだよ!
あー!早くGBNやりてー!待ちきれねーよ!なぁ!
はい、お待ちどう!
ケンさん、こっち注文!
あ、はいよー!…お!いらっしゃい!
ん…。(会釈で返す)
ケンさーん!
はいはーい!今いっきまーす!
いらっしゃいませ。
え…。…あ。
ふっ…。まだログイン制限かかってるんだってね。
みんなここに集まっちゃってもうすっごく大変!
…そっか。
あ…。あの、さ…。この間は、ごめん。
え?
その…。あるよね、聞かれたくないことって、誰でも。だから、ごめん。
…俺の方こそ、ごめん。
え?
ヒナタが気にかけてくれてるのに、あんな…。
ヒナタちゃーん!そろそろ休憩入ってー。
え?でもさっき…。
えっへへ!(ヒロトとのやりとりを気にかける)
ヒナタちゃーん!アイスバーザムティーひとつー!
ほーい!♡
どぅわ!ケンさん!?
ありがとう。
えっと…あのね。私、ここ好き!
え?
ケンさんや、他の人たちも優しいし、お仕事楽しいよ。
そっか。
うん!時給もいいしね!えへへっ♪
それに…楽しそうだよね、みんな。
あの頃の、ヒロトみたい。ヒロトも、もう一度…
…?
あのとき、「ただの記憶にすぎない」ってヒロトは言ってたけど…。
そんなことないよ。ないと思う!全部、きっと、ヒロトの大切なもの。
…!
過ごした時間も、感じた気持ちも、全てがヒロトを作ってくれた大切なもの。
あ…。
ぐっ…!(イブのことを思い出して辛くなる様子)
(これからも、誰かのために頑張れるヒロトでいてね。)
あっ…!
ヒロトは、いつだって、誰かのために前を向いて進んでいける。…そんな人だから。
あ…。
あ…。ふっ(微笑む)
…。(なにかが吹っ切れた様子のヒロト)
ありがとう、ヒナタ。
ううん。
(ねぇ、ヒロト。この空って…GBNの空って、どこまで続いているのかな?)
(いつか行ってみたい。ヒロトとヒロトのガンプラと。)
(宇宙のベース基地まで、エリア移動するってこと?)
(そうじゃなくって、ここから行くの。この空の向こう。大気圏も越えて、お月さまのその先。火星も木星も、土星の輪っかも飛び越えて。太陽系の、GBNの果てまで。)
(さすがにできるかな…。)
(できるよー!願う力が、GBNに集まるみんなの大好きって気持ちが集まれば、どんな奇跡だって起こせる。私みたいに。)
(え…。なに?)
(ううん、なんでもない。だから行こう?ヒロト。もっともっと遠く。銀河の遥か先。宇宙の向こう側まで。どこまでも、どこまでも!)
いってらっしゃい、ヒロト。
最初にストーリーミッションに転送されたところに来るヒロト
…なぜ来た?
聞いていなかったからな。
ん…?
メイはなぜ行く。危険を冒してまで。
GBNに生まれた私にとって、お前たちのリアルも、エルドラも、もうひとつの世界でしかない。…だが、その世界を大切に思う者がいる限り、助けになりたいと思う。それが私の使命だと感じるからだ。
…。(なにかを考える様子)
はぁ…はぁっ…はぁっ…!(走ってくる)
約束がっ…!もう、飛べないのは…嫌だから
んだよっ!俺が1番最後かよ!
あっ…!
ま!リーダーだからな!…泣かせちまったままじゃ…な。
おぇ?
なんでもねーよ!
それで、どうする。
んっ…。
んっ…。
俺たちだけでは、エルドラに行けない。
そうだよ、どうすんだ?
フレディが呼んでくれないと。
呼べる状況ではないのかもしれない。何か方法を…
…みなさんっ!
あっ!
あっ!
…フレディです…!
これって…!
フレディか!
くっ…。応えちまったら…。
帰って、これないかも…。
これは、ゲームではない。本当にいいんだな。
…(戸惑う様子)
…(戸惑う様子)
はぁ…。
もう、繰り返さない。
あっ…。
あっ…。
失くしたんだ…大切なものを。
だから、繰り返さない。この胸の痛みは、本物だから。
ヒロトさん!カザミさん!メイさん!パルさん!ビルドダイバーズのみなさん!
ep13『この宇宙のどこかで』
【ジャスティス・カザミのリライズニュース】
いくぜっ! この俺! ジャスティス・カザミの、リライズニューッス!
今回は!プラネッツシステムスペシャルだー!まずはやっぱ、コアガンダムだろ!ガンプラのカラーバリエーションすっげぇ!
こいつがプラネッツシステムで、アースアーマーと合体して、アースリーガンダムになる!それを再現できるのが!コアドッキングカスタムってわけだ!
んで、このバリエーションが、じゃじゃーん!マーズフォー、ヴィートルー、メルクワン、ジュピターヴ!こんなにたくさんあんだぜ!?ええい!ヒロトのガンプラの性能は化け物か!
ジャスティス・カザミの注目ポーイント!
アーマーやウェポンは、自由自在に組み替えできるぜ!カスタマイズとカラーバリエーションやっべぇ!あえて言おう!無限大であると!
しかもヒロトのやつ、さらにコアガンダムを進化させるつもりでいるんじゃねぇか?ほんっと!目が離せねぇ!
じゃあ!次会えるまでちょっと時間が開いちまうけど、楽しみに待っててくれよな!またな!